建設分野は特定技能1号の対象16分野のひとつで(2026年1月に3分野追加が決定し計19分野・新3分野は2027年頃開始見込み)、建設業界の深刻な担い手不足を背景に設けられました。所管省庁は国土交通省です。
建設分野は特定技能の中でも「要件が多く、費用も高め」という点で他分野と大きく異なります。具体的には、①JAC(一般社団法人建設技能人材機構)への加入と受入負担金の支払い、②建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録、③国土交通省への「建設特定技能受入計画」の認定申請、④報酬は月給制かつ同等以上、⑤人数枠あり(常勤職員数まで)、という固有要件が課されています。これらすべてを満たすことが受入れの前提です。
一方で、建設分野では特定技能2号も設けられており、高い技能を証明すれば在留期間の上限なく就労継続が可能(家族帯同も可能)という点は、長期的な人材確保の観点から大きなメリットになり得ます。
建設分野の特定技能は、2022年の制度見直しにより業務区分が再編されました。現在は以下の3区分に整理されています。
| 業務区分 | 主な業務内容 |
|---|---|
| 土木 | 型枠施工、コンクリート圧送、トンネル推進工、建設機械施工、土工、鉄筋施工(土木)、港湾荷役など |
| 建築 | 型枠施工、左官、コンクリート圧送、屋根ふき、電気通信、鉄筋施工(建築)、内装仕上げ、表装(壁紙貼り付け等)、熱絶縁工事など |
| ライフライン・設備 | 電気工事、配管、電気通信工事、消防施設工事など |
受け入れる外国人が従事する業務がいずれの区分に該当するかを確認し、その区分に対応した技能試験への合格が必要です。1人の外国人が複数区分の業務に従事することも、要件を満たせば可能です。詳細な業務の範囲は国土交通省の運用要領をご確認ください。
建設分野の特定技能1号を取得するには、以下の試験への合格が必要です。
| 試験 | 内容・実施概要 |
|---|---|
| 建設分野特定技能1号評価試験 | 業務区分(土木/建築/ライフライン設備)ごとに実施。国内外で実施。JACが試験実施に関与 |
| 日本語試験 | JFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト)またはJLPT N4以上 |
建設分野の技能試験は業務区分別に実施されます。就労させたい業務区分に対応した試験に合格していることが必要です。試験の日程・受験方法・実施国については国土交通省またはJACの公表情報でご確認ください。
以下に該当する方は、技能試験・日本語試験が免除されます。
自社の技能実習生を移行する場合:建設分野の対応職種で技能実習2号を良好に修了した実習生であれば、試験なしで特定技能(建設)への変更が可能です。紹介手数料・渡航費が不要なため、初期コストを抑えられる経路です。ただし建設分野固有のJAC負担金・CCUS登録・受入計画認定は移行ルートでも必要です。
建設分野の特定技能外国人を受け入れるには、全分野共通の要件に加えて、以下の建設固有の要件をすべて満たす必要があります。他分野にはない要件であり、事前の準備期間を十分に確保することが必要です。
一般社団法人建設技能人材機構(JAC)に加入し、受入れ人数に応じた受入負担金を支払うことが必要です。JACは建設分野の特定技能外国人の海外試験実施・技能向上支援・帰国支援などを担う機関です。
JACへの加入は受入れ前に必要であり、正会員(建設業者団体)または賛助会員(個別の建設企業)として加入する形態があります。受入負担金の金額・支払い方法はJACの規程で定められており、最新情報はJAC公式サイト(jac-skill.or.jp)をご確認ください。
建設キャリアアップシステム(CCUS)は、建設技能者の就業履歴・保有資格等を蓄積・管理するシステムです。受入れ機関(建設企業)および受け入れる特定技能外国人の双方がCCUSに登録し、就業履歴を蓄積していくことが求められます。
特定技能外国人を受け入れる前に、国土交通省に「建設特定技能受入計画」を申請し、認定を受けることが必要です。この計画には、受入れる外国人の情報・業務内容・報酬・キャリアアップの見通しなどを記載します。計画の認定には一定の審査期間が必要なため、採用のスケジュールを立てる際には余裕を持った準備が求められます。
受入れ後4か月以内に、国土交通省が設置する建設分野の分野別協議会に加入する必要があります。
注意:上記の建設固有要件(JAC加入・CCUS登録・受入計画認定)は、技能実習からの移行であっても省略できません。採用を検討している場合は、計画認定に要する期間を見込んで早めに準備を開始することをお勧めします。
建設分野の採用コスト(海外新規・国内在留・技能実習移行)を経路別に無料試算できます。
特定技能の採用コストを無料試算する →建設分野では、特定技能外国人の報酬は月給制でなければならないとされています。日給・時給・週給などの給与形態は認められておらず、月給制が必須です。これは他の15分野にはない建設分野固有の要件です。
月給の額は、同等の業務に従事する日本人と同等以上であることが必要です。また、建設特定技能受入計画の中で報酬額を明記し、国土交通省の確認を受けることになります。給与規程や雇用契約書を整備する際は、月給制であることと同等以上の水準を明確に示すことが必要です。
建設分野の特定技能1号には人数枠が設けられています。受入れ人数の上限は、受入れ機関の常勤職員(技能者)の総数までです。
たとえば、常勤の職員が30名在籍する建設会社では、特定技能1号(建設)の外国人を最大30名まで受け入れることができます。なお、技能実習生の人数とは別に計算されます。詳細な算定方法は国土交通省・JACの関係通知で確認してください。
建設分野は人数枠がある点で農業・漁業・介護などと同様であり、大量採用を計画している場合は自社の常勤職員数から上限を事前に確認しておくことが重要です。
建設分野の採用費用は、JAC受入負担金・建設特定技能受入計画の申請費用などが加わるため、他分野と比べて高めになる傾向があります。以下はあくまでも目安です。実際の費用は採用先の国・地域・委託先・個社の条件等により異なります。 建設の採用費用(JAC負担金を含む)を試算すると、経路別の初年度総額の目安を確認できます。
| 費用項目 | 目安額(1名) |
|---|---|
| 人材紹介・送り出し機関手数料 | 30〜100万円 |
| 在留資格申請費(行政書士報酬) | 10〜15万円 |
| 渡航費・住居初期費用等 | 15〜45万円 |
| JAC受入負担金(年額・目安) | 15〜30万円程度 |
| 建設特定技能受入計画申請費 | 5〜10万円程度 |
| 登録支援機関 支援委託費(年額) | 24〜36万円 |
| 費用項目 | 目安額(1名) |
|---|---|
| 人材紹介手数料 | 0〜80万円 |
| 在留資格変更申請費 | 5〜15万円 |
| JAC受入負担金(年額・目安) | 15〜30万円程度 |
| 建設特定技能受入計画申請費 | 5〜10万円程度 |
| 登録支援機関 支援委託費(年額) | 24〜36万円 |
| 費用項目 | 目安額(1名) |
|---|---|
| 在留資格変更申請費 | 10〜15万円 |
| JAC受入負担金(年額・目安) | 15〜30万円程度 |
| 建設特定技能受入計画申請費 | 5〜10万円程度 |
| 登録支援機関 支援委託費(年額) | 24〜36万円 |
JAC受入負担金の額は受入れ人数・加入形態等によって異なります。最新の金額はJACの公式サイトでご確認ください。費用の詳細な内訳や試算は「特定技能の採用費用はいくら?経路別に徹底解説」および無料試算ツールをご活用ください。
建設分野には特定技能2号が設けられています。2号を取得すると在留期間の更新に上限がなくなり、家族帯同も可能になります。2号の取得には熟練した技能の証明(建設分野特定技能2号評価試験への合格等)が必要です。
建設分野で長期的に外国人材を活用したい場合、1号(最長5年)から2号への移行を視野に入れたキャリア設計を、採用時点から行っておくことが定着率向上につながると考えられます。ただし2号取得の要件詳細は国土交通省・出入国在留管理庁の最新情報をご確認ください。
建設の特定技能採用に対応する人材会社・登録支援機関をご紹介します。条件・費用の比較ができます。